利用者さんと信頼関係を築く重要性

介護の仕事のひとつが身体介助である。身体介助は、体を一人で動かすことが難しい利用者さんに対して、移動や日常生活を送ることができるように手助けすることだ。具体的な身体介助には、入浴介助や食事の補助、起き上がりの介助などがある。トイレ介助もその仕事のひとつであり、コツや心掛けなど非常に難しい仕事といえる。トイレ介助とは、施設利用者が排せつをする際に、トイレまで誘導したり、衣服の着脱を補助したり、利用者さんによっては清拭を行うことをさす。非常にデリケートな行為であるからこそ、相手の尊厳を傷つけないことを心掛けることが必要だ。トイレ介助に限ったことではないが、身体介助は介護者一人で行うものではない。

体の位置や体の預け方などは、利用者さんの協力が必要不可欠である。しかし、介護者を信頼できなければ、それらの協力を得ることは難しい。そして利用者さんから信頼を得るためには、コミュニケーションをしっかりと図ることが必要となる。信頼関係を築けていない状態でトイレ介助をすれば、利用者さんはトイレ介助自体に拒否感を覚えてしまい、非協力的になってしまうからだ。利用者さんと信頼関係を深めるためには、トイレ介助のときにだけ声がけを徹底しても意味はない。日頃から意識的に会話をして、利用者さんの声に耳を傾けて心の面から寄り添うことが大切だ。トイレ介助は利用者さんにとって通常では人に見られたくない排泄という行為を見られることになるので、信頼関係構築はより強く意識をする必要があるのだ。